来世でもやっぱり「レジリエンス」をやるつもり

深谷さん

先輩インタビュー:0014 起業:研修講師・コンサルタント

深谷 純子(ふかや すみこ)さん

株式会社深谷レジリエンス研究所  代表取締役

■ 今は何をしてらっしゃいますか? 現在のお仕事を教えてください。 

研修コーチ、各種媒体への執筆活動やラジオ出演など、「レジリエンス」のコンサルティングやアドバイザーとして活動しています。特に今は自然災害や新型コロナの影響で多方面からお声がけいただいています。

■ 前職ではどんな仕事をされていましたか?

26年間、コンピュータ会社でSE、コンサル、サービス企画などに携わってきました。今は「心理学系」ですが、まったく逆の「デジタル系」の世界にどっぷり浸かっていました。

あまり知られてはいませんが、当時から「システムレジリエンス」という言葉を社内では使っていました。「レジリエンス」とは「回復力、弾力性」という意味 で、今はメンタルの世界で多く使われますが、自然災害などからのシステム復旧の意味でも使う言葉です。

■ 前職を辞めたのはいつですか?

2011年3月、ちょうど10年前ですね。東日本大震災があった4日後に50歳になったのですが、「50歳定年」という制度を利用して辞めました。

実は前年の2010年から母の介護が始まったのですが、介護のため会社を辞めたいと会社に伝えたところ、1年間は介護休職しその後辞めたらどうかと勧められました。退職を考えている従業員に対し2年間の助走期間が与えられ、その間、社会保険を会社が半分負担してくれて準備ができる制度があり、それを利用して、「1年後には退職します」と宣言して介護休職に入り、予定どおり1年後に退職しました。

■ なぜ、今の道を選んだのでしょうか? 定期収入がなくなる不安はありませんでしたか?

実は2009年に新型インフルエンザが流行った頃、メディアに取り上げられる機会が多くあり、会社の給料以外の収入がかなりありました。今、思えば会社の看板で仕事をいただいていたのですが、会社を辞めてもなんとかなるさと思っていました。楽観的に考えていて、あまり収入面で不安はありませんでした。

私に2足の草鞋は無理だと思い、介護の間は介護に専念していましたが、幸い、親も元気を取り戻して介護の必要もなくなったので、ボランティアなどの活動をしながらどうしようかと考え、前職の関係で「システムコンサル」の契約をしていただいたので、とりあえず「株式会社システムレジリエンス」という会社を2011年の夏に作りました。

当初は「システム」のレジリエンス業務でしたが、前職時代から「人間が一番弱い、人を強くしないと会社も強くならない」と思っていた のを思い出し、4年前に「システム」から「ヒューマン」のレジリエンスに軸足を移していきました。

■ セカンドキャリアの準備を始めたのはいつ頃ですか? 考え始めたのはいつ? 

介護休職に入る前から、コンピュータの世界はやりきった感がありました。燃え尽きた感とでもいうのでしょうか、会社での仕事に自分の中で燃えるものが感じられず、違う道に進むべきか薄々考えていた時に、親の介護に直面したのです。

「燃え尽きたカスはもう捨てよう。もう一度、燃えたい!」と 思っていましたが、具体的に準備の活動をしたわけではなく、前職では目の前の業務に専念していました。

■ これまでに試行錯誤や苦労した時はありましたか?  今、抱えている問題などあれば教えてください。

「システム」から「ヒューマン」に軸足を移してからコーチングや研修の話が多くなってきたのですが、世間的には「システム屋」でした。私は何が売りなんだろうか、どう見せるべきかを悩みました。システムレジリエンスの会社の名刺とコーチとしての個人の名刺と2枚持ち歩いていましたが、「システム屋」としての賞味期限はそろそろ切れるとわかっていましたし、過去の匂いを打ち消すにはどうすればいいのか悩みました。

今は社名も「株式会社システムレジリエンス」から「 株式会社深谷レジリエンス研究所 」に変え、「ヒューマン」のレジリエンスの専門家として活動していますが、最近は雑多な話が増えてきたのが悩みではあります。こういうことを一緒にやりませんかとお誘いいただくことが増えました。来た話は断らない主義ですが、時間は限られているのでどうこなしたらいいのか、また自分はコーチが基本なので「ブランディング」の観点からも 、もっと何かに絞るべきではないかと考えています。

■ 今の生活に満足していますか?

もちろん満足しています。前職を辞めて良かったと思っています。一日中、ビルの中でシステムと向き合い、何かあるたびにルールが追加され、ノルマに追われていたあの仕事にもう戻りたくはありません。

■ 後輩にアドバイスするとしたら?

まずは今の仕事をやりきって! と言いたいですね。中途半端な気持ちではなく、これ以上ここでは何もやることがない。というところまで行ければ、次へあっさり行くことができます。パラレルキャリアやプロボノのようなグラデーションではなく、 「やりきった、さあ次!」という感じですね。

達成感を感じて欲しいと思います。そうすれば後悔しないはず。子育てと仕事をやりきろう。介護をやりきろうと言いたい。コーチをしていて気になるのは、隣の芝生を気にしながら、迷ってズルズルしている人が多いこと。徹底的に今の仕事に浸かってみて、自分に向き合ったほうがいい。そこから自分に大事な価値観が見えてくる。中途半端はもったいないと思います。

■ 今後の展望についてお聞かせください。

「レジリエンス」は私のライフワークですが、最近はストレスにどう対処すべきかなどの管理職向け研修のお話があります。レジリエンスをもっと広く捉え、「幸福観」の世界に取り入れていきたい。100年人生を生きるつもりでいますので、多くの出会いとその人たちをレジリエンスで幸せにしていきたいと思っています。 レジリエンスは半分趣味と言ってもいいかもしれません。 来世でもやっぱり「レジリエンス」をやるつもりです(笑)

■ 最後に、働くということは貴女にとってどういう意味を持っていますか?
なぜ、働いているのでしょうか?

「働く」ことは収入を得るだけでなく、「生きること」だと思っています。ご飯を食べたり、息をすることと同じように。働くことで自分をもっともっと成長させたいと思っています。新たな自分に会えることが楽しみでもあります。

株式会社深谷レジリエンス研究所 のWebサイトはこちら
https://www.fukayaresilience.com/

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レジリエンスは心の筋肉(後編)

■ 編集後記

始めてお会いしたときから静かな語り口とは対照的に熱い思いをお持ちの方だなと思っていましたが、今回、お話をお聞きして、「レジリエンス」で多くの悩める人たちを救いたいという気持ちが強く伝わってきました。前職の仕事はやりきった。とおっしゃる深谷さんは、「システムのレジリエンス」専門家から「ヒューマンのレジリエンス」専門家に転身し、また新たに燃えるものを見つけ、レジリエンスの伝道師としての日々を楽しんでいらっしゃるようでした。(2020年6月24日)