自分のビッグスマイルでみんなを元気にできたらいいな

有馬さん

有馬由佳さん 第6期(2021年10月)受講生

 シリーズ第3弾は、DX企業にて「人」に関わる業務を行う有馬由佳さんです。社会人として1社経て入社した会社で定年を迎え、今年から再雇用で働かれています。
業務の合間に国家資格キャリアコンサルタントも取得。また今年3月に本も出版されました。多方面で活躍される有馬さんに、仕事と出版の両方について伺いました。

— 有馬さんはいつも明るく活発な印象です。またディズニーの大ファンとのことですが、何かきっかけがあったのですか?

有馬さん:小学生のころテレビにフロリダのディズニーワールドが映り、「こんな素敵な所があるんだ。新婚旅行はここに行こう!」と思ったのを覚えています。そして実際に、15年後に新婚旅行で本当にフロリダのディズニーワールドに行くことになるのですが、それ以来、フロリダのパークには20回近く行く程、大好きになりました。もちろん、東京のパークも好きですが、ディズニーは勇気と優しさと笑顔を与えてくれて、私が一番私らしくいられる場所でもあります。

第二の故郷は夢の国?

— ディズニー以外でも色々活動されていますが、今興味のある事は何ですか?

有馬さん:最近は、タロットに興味があり、占えるようになるといいなと思い勉強を始めています。あ、あと、終活アドバイザーの講座も受講を開始しました。

— それはまた新しい世界ですね。そのうち是非マチュアの会のセミナーでご披露お願いします。

有馬さん:はい、よろしくお願いします。

■ インストラクターから人に関わる仕事へ

— お話しを移しますが、これまでのキャリアの概要を教えてください。

有馬さん:短大を出て商社に勤め、経理に配属されました。でも数字が大嫌いだったのと大失恋を経験した経緯から、一人で生きていく!と決心し、今の会社にPCインストラクターとして全く違う道を選び入社しました。専門用語ひとつわからない状態からのスタートで、当時はまだWindowsは無く、MS-DOSの世界でメールや掲示板を扱うソフトウエアの紹介やモデムを使って講習会をしていましたが、直接相手の反応が分かるインストラクターの仕事はとても楽しかったです。

晴海会場でのショー対応(90年代)

バブルの残り香もあり、日本全国出張に行かせて頂いたりして、美味しいものも沢山食べました(笑)
その後、子供を授かりインストラクターから営業事務の部署に移りました。でもただの事務はつまらないので、ステップアップしようとキャリアコンサルタントの資格を取りました。そのあたりから人に関する仕事をやらせていただいています。例えば車座*やモチベーションをアップするイベントを考えるなど。現在もそのようなことに携わっています。
(*車座とは参加者が所属/役職に関係なくフラットな関係で行うカジュアルな討議)

— 車座や人に関する事は会社からの指示でなく、ご自身で総務の仕事から広げられたのですね。

有馬さんそうですね。人に接する事や企画することが好きで、個人的にやっていたら、会社でもそちら方面にいってもよいという流れになりました。ただ、やるなら下地もいると思い資格を取り、本当にキャリアアップをした感じです。

■ キャリアコンサルタントの資格取得と仕事での活用

キャリアコンサルタント取得でどんな事が得られましたか?

有馬さん:元々心理学や行動に興味がありましたが体系的に学ぶことで、自分の考えや行動に納得できた所がありました。また資格取得の為に3-4か月一緒に苦労して勉強した同期生は今も仲良く、会社とは別の自分のプレイスができた事も得難い経験です。

— 先ほど車座という言葉がでましたが、キャリアコンサルタント習得後、会社で実現していった事とも関係しますか?

有馬さん:かなり関係すると思います。当時うちの会社はSEが多く、派遣先に常駐している人が大半で、自分の会社でなく派遣先を自分の会社のように思い、帰属意識が全然ないのが良くないと考えていました。車座が流行り始めた頃で、私たちもやろうと1年半の間に3回やりました。最初は「こんなのをやるからモチベーションがさがるんだ」など言っていた人も、回を重ねるうちに楽しくなってきたようで、出られない日の変更なども積極的に動いてくれました。最終的にやりたい気持ちのある人達が勉強会を始めるなど、前向きなグループができたのが私も嬉しく、やってよかったと思いました。

— やらされる研修から参加者が自立自動を始めたのはすごいですね。有馬さんの“もっと変えなきゃ”という気持ちが伝わったのですね。

有馬さん:実は、上司と喧嘩したんです。「こんなの仕事中にやるから仕事が遅れるんだ」と言われ、本当に大声で喧嘩しました。でもそれでぶつかったことでお互いに腹を割って話せた。結局、その上司は最後に撮る記念写真に一番にこやかな顔で写っており、その時は“やったな”と思いました。避けてないでぶつかる事も大事だということを学ばせて頂いた体験でもあります。

— 1回行った後尻すぼみになる研修も多いですが、そうならなかったのはそのような方を巻き込んだからですね。

有馬さん:はい。巻き込みながら新しい関係性ができるのも、すごく楽しかったです。

— 自立して活動始めたグループがあるという事は、参加者も大きな意義を感じたのだと思います。そういう事があると自分の仕事に自信がつきますね。

有馬さん:そうですね。久しぶりにやりがいを感じました。調子に乗ってその経験をレポートにしてJCDA(日本キャリア開発協会)に送ったら、雑誌に載せましょうとなり、その時初めてインタビューを受けJCDAジャーナル誌に掲載されました。


■ パートナーの旅立ちと自費出版

—どんどん膨らみ、関わっていく世界が広がる感じですね。その時はインタビューを受けたそうですが、有馬さんご自身は文章を書くのもお好きとのこと。自費出版についても経緯を教えてください

有馬さん:小さい時から物を書くのが好きだったので、20歳になったら自費出版するという夢がありましたが、20歳の時はお金がなくて。20年後の40歳の時は時間がなく。じゃあ後20年経った60歳にと思っていたら、夢が叶った感じです。

— ご著書はパートナーを亡くされるという非常に辛い体験を記されたものですが、そのような話を文章にして、更に本にする過程はお辛くなかったですか?

有馬さん:辛かったです。丁度コロナ禍に亡くなった為、全く誰にも知らせず娘と2人でお葬式をしました。その時に、葬式は亡くなった人の為でなく遺された人の為にやるものなのだ、と初めて気付きました。亡くなった人の事を想い出し、皆で“ああだった”“こうだった”と喋る事で、遺された人が癒されるのですよね。私の場合、それができず、自分の中ですごく溜めてしまい、たまに思い出しては瘡蓋を剥いで、ダメダメとフタをし、また瘡蓋を剥いで…と、いつもグジグジしている状態でした。
夫の闘病中、自分のメモ程度に介護記録をつけていたのですが、ある時、そのメモや写真などを見ていたら結構忘れている事があると気付きました。“全部覚えていたいのに、こうやって忘れていき、私も居なくなったら本当に何も無くなっちゃうんだな。”と思ったら、今、私が書いて遺さないと!という焦燥感に駆られました。
ちょうどその時、ある出版社で『あなたの人生物語を募集します』というコンテストの募集があり、しかも、その少し前に受けたNext Storyのセカンドキャリア研修の課題で、アクションプランに“小説を書く”と書いちゃったこともあって、これだ!と思い、応募しました。
賞には漏れたのですが、出版社の人から「すごく感動しました。これ自費出版できますよ」と言われ、じゃあ、ちゃんと書こう、とそこから本気で全部ひっくり返しました。泣きながら何度も追体験し、思い出したくなくて蓋をしていた部分もこじ開け、掘り起こして全部書いて。でも何回か追体験して書いているうちに、かさぶたが硬くなってきたらしく、書き終わった時にはお葬式で皆と喋ったのと同じような状態になり昇華したというのか、ちょっと気持ちがスッキリして…

 

— 身近な人を亡くし、時間も必要ですが本の形にすることで、ご自身を前に進める事ができたのですね。

有馬さん:今まで見ないように蓋をしていた部分もありました。思い切ってバーンってその中に入ってバーンと書き出したら、乗り越えちゃった、という感じですね。書いているうちに、私が笑っていれば彼も楽しいし、私が美味しいものを食べたら彼も嬉しいし、みたいにポジティブな思い込みになり、それで少し救われたかなと思っています。

— 本を出された時の周りの方の反応はどうでしたか?

有馬さん:娘からは大反対されて。彼女なりに耐えている部分があり凄く嫌だったみたいです。娘と話し合い、個人情報は出さない・ペンネームにする、というような事を決めました。でも出版後、娘にみせたら「こんな素敵な本になったんだね。よかったね。」と言われ、ほっとしました。

—出版を通じて有馬さんが再生されていく姿をお嬢さんはご覧になっていたのでしょうね。またその本でお嬢さんも心が穏やかになったのかもしれませんね。

有馬さん:娘の方がしっかりしていて、ずいぶん助けらました。大人なんだなあ、いつの間にか成長しているんだなあ、と感じました。出版後に手紙で「ママとパパの子どもに生まれてよかった」というメッセージをもらい、とても嬉しかったです。

ご著書「天国に咲く白い花」遊川りま 文芸社
  (こちらの掲載はご家族の了解を得ています)           

■ 辛い思いをしているマチュア世代の方々へ

— マチュア世代は辛かったり難しい経験をする事もあると思いますが、そこから一歩踏み出す為のアドバイスをいただけますか?

有馬さん:アドバイスという程ではないのですが、私がやるようにしているのは、例えば公園を歩いていて落ちているゴミに目がいってしまった時、つい、そこに意識が行って嫌な気分になることがあるけれど、ちょっと顔を上げると、木はきれいだし、空は晴れているし、おいしそうなアイスクリーム屋さんも出てる(笑)。ちょっと顔を上げるだけで、色々な楽しい事が一杯ある。だから嫌な事に集中しない、とにかく少し目線を上げて、周りを見てみると一歩を踏み出すきっかけが見つかったりするかなと思います。

— 最後にもう一言、言い残した事はありますか。

有馬さん:これを言うと笑われるのですが、次の夢はディズニーキャストになる事です。
会社でも「今日は有馬さんに会えたからラッキー」と言われる事があります。そういう風でありたいと思っていて、その根本はミッキーマウスなのですが、いつも誰に対しても同じスマイルを向けてくれる。だから安心していられる。そういう存在になれたらと思っています。

— 有馬さんの軽やかで常に前を向く姿勢に、なんとかなるかもと思える力をもらえました。今日はありがとうございました。


インタビューを終えて:
与えられた環境や条件に埋没せず、ご自身で動き、可能性を広げていく力がとても印象的でした。人と本気でぶつかってきたからこそ、職場でもご家庭でも素敵な関係を築かれているのだと思います。辛く苦しい時期があった事も知り、今の明るい笑顔が本当にまぶしいです。次のステージで、キャストとしての活躍も楽しみです。

(2023年9月1日)  インタビューは、マチュアの会コンテンツチームの永合由美子(1期生)・萩原佳子(8期生)が実施しました。