人生の楽しみを見つけて、その為に稼ぐ
先輩インタビュー:0018 起業:キャリアアドバイザー
遠藤 佳代子(えんどう かよこ)さん
東京都 就労専門相談員、キャリアコンサルタント
■ 今は何をしてらっしゃいますか? 現在のお仕事を教えてください。
公共の就労支援相談室で、週に4日、就職、転職の相談や支援活動を行っています。若者や女性が多いですが、シニアも含めて幅広く10代から80代までご支援しています。
■ 前職ではどんなお仕事をされていましたか?
新卒で大手の自動車メーカーに就職しました。入社して27年は海外営業本部で中南米や途上国を担当していました。まだ女性の海外出張が少ない時代、実際に現地に赴いて、現場を見て、そんな十分じゃないスペイン語と英語を駆使して現地の方と価格交渉したときの仕事の面白さ、醍醐味は忘れられず、定年までここで勤めようと思ったのが鮮明に記憶に残っています。
子育てをしながらの仕事に、仲間を求めて共働きの親の会に参加して、その後、その会の責任者となったのがきっかけで、49歳のとき人事部に異動になりダイバーシティ推進に従事しました。当時、ダイバーシティに取り組む企業は少なかった中、他社に比べて女性が活躍していた会社でしたので、今更、ダイバー?と思いましたが、外国人の社長の意向で、当時の女性の管理職比率1.4%を5%に引き上げるという目標に尽力しました。
■ 前職を辞めたのはいつですか?
人事部に異動した翌年50歳で役職定年を迎え、さらにその翌年によく知っている年下の女性が上司となり、なんとなく居づらさを感じて、辞めることを考え始めました。リーマンショックの後でしたので、転職活動に3年かかり、54歳で早期退職しました。転職先での仕事もダイバーシティ関連でしたが、前職とは違い、協力者がいないなかでの孤軍奮闘で、更に社長が交代し、方針変更により、1年で辞めることになりました。その後、人事部時代に取ったキャリアコンサルタントの資格を活かし、更に自分自身でも興味があった中高年の再就職支援の仕事につきました。
■ なぜ、今の道を選んだのでしょうか?
退職したときに 長年の海外営業の経験が活かせる仕事を捜したのですが、海外営業のニーズはなく、キャリアコンサルタントの資格が物を言いました。 その後NPO法人に行ったり、複数の職場を経験して、現在の公共機関でのキャリアコンサルタントの仕事が続いています。キャリアコンサルタントはの仕事は通算9年、支援した方は1000名以上になります。資格と社会人の経験が活かせる仕事で、且つ人に喜ばれる点は大いにやりがいを感じています。
■ 収入に不安はありませんでしたか?
会社を退職する時はそこまで先のことは全く考えていませんでした。夫も働いており、転職時の給与条件も悪くはなかったので、そのまま行けるのではと安易に考えていました。人生80年の時代でしたので。
ただ、今になると転職するたびに給与はさがり続け、退職金はもちろんそこそこ頂いておりましたが、後6年我慢すればもっと貰え、年金も増えたかも?などと思ったりしました。幸い不動産所得も少しあり、贅沢しなければ問題ないとは思っていますが、夫婦とも長寿の家系でもあり、後30年以上世の中の変化にどこまで経済的に対応できるのか不安な気持ちもあります。従い、趣味のない夫には現職で頑張って働いてもらっています。
■ セカンドキャリアを考えて、そのための準備を何か始められましたか?
40代後半で会社のキャリア研修を受けましたが、なんとなく、モヤモヤしてピンときませんでした。同期の男性は殆ど子会社に出向、転籍していましたが、子会社にあまり行きたくなかったので転職を選択しました。特に特別な準備をしたということはありませんでした。
何も準備もしなかったので、結果行き当たりばったりでお誘いがあるままにキャリアを選択していました。何度も転職し、転職活動をしたことはキャリアコンサルタントとして活かせています。
■ これまでに試行錯誤や苦労した時はありましたか? 今、抱えている問題などあれば教えてください。
転職活動は苦労しました。そもそも50代での求人は殆どなく、有期の契約社員しかありません。その中で内定を勝ち取るのは大変でした。転職後は会社や業界の社風の違いや人間関係を理解し、馴染むのにも時間が掛かりました。ただ、恐ろしいことに転職慣れする自分もいました。
キャリアコンサルタントの仕事は最初の内は業界別の仕事理解、マッチングなど苦労しました。勉強と経験を重ねて、今では履歴書を見れば、だいだい問題なくマッチングできるようになりました。ただ日本は年齢の壁がとても高く、相談者さんの期待に添えないことも多いです。ここがチャレンジのしどころと思っています。
■ 今の生活に満足されていますか?
まあ、満足しています。転職してから探した趣味も大いに楽しみつつ、昨年まではキャリアコンサルタントの仕事以外にもダイバーシティのコンサルタントや大学でのキャリアの授業などもしていましたので、忙しい中でも充実していました。昨年念願のオリンピックのボランティアが出来たのも目標達成です。ただ、そういう仕事も期限があり、だんだんと減ってきていますし、筋力と記憶力が日に日に衰えていくのが、恐怖です。体を動かし、様々なことに興味をもって、衰えないように維持しています。
(写真は趣味の社交ダンスの発表会)
■ 後輩にアドバイスするとしたら?
セカンドキャリアではやはり我慢することなく好きなことにチャレンジしてみたらって言ってあげたいですね。自分の好きな事、やりたいことに正直にと。私の場合、たまたまキャリアコンサルタントになったのですが、向いてないかなと思う時もあります。でも嫌いじゃない。就職が決まった時の皆さんの喜ぶ顔をみるとやって良かったと思っています。
一方で今までできなかった趣味にも没頭、趣味の社交ダンスは週3回通うほどハマっています。新しいことを学ぶのに覚えが悪くて苦労しますが、少しずつ成長することがとても励みになり、楽しんでいます。
■ 今後の展望についてお聞かせください。
キャリアコンサルタントはこのまま続けられるなら70代も続けて行きたいと思っています。80代になったらさすがに利用者さんとギャップがあるかもしれないですが、働くことは好きなので細々とでも働いていたいです。元気なシニアの方のお力を何か活かせないかと日々思案中です。また、相談者の中にはメンタルを患っている方も増えているので、そういう方をサポートできる資格をとろうかとも思っています。法律関係などの知識を覚え、現場での実務経験も必要なので時間的、能力的にできるかはわかりませんが・・・
■ 最後に、働くということは貴女にとってどういう意味を持っていますか?
なぜ、働いているのでしょうか?
じっとしていられないんです。家で静かに庭仕事をしたり、手芸をして過ごすような暮らしは、好きではないということが分かりました。人とふれ合って、自分が成長していることを実感できると嬉しいです。成長していきたいですね。ボランティアにも興味があります。お金を稼ぐことは目的ではありませんが、お金をもらえるだけの力を持ち続けたいと思っています。
■ 編集後記
じっとしていられないという言葉どおり、趣味にボランティアにと元気いっぱいの遠藤さん。もちろん本業の就労支援にも熱心で、女性に限らずシニアや若者相手に日々奮闘されています。「最近のZ世代は理解不能!」と言いながらも、暖かなまなざしでなんとか彼らの力になろうと努力されています。遠藤さんとは長年の付き合いですが、彼女にはいつも協力していただいて、感謝いっぱいです。これからも元気で活躍していただきたいと思っています。(社交ダンスの写真は無理をいって掲載をお願いしました。スラッと伸びた脚が美しく、まったく年齢を感じさせません)(2022年5月10日オンラインにて)