マチュア世代インサイト「私たちの還暦」
「人生100年時代」「定年延長」等、時代が新しい流れを生み出していっても、未だに「還暦」といえば「赤いちゃんちゃんこ」を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。
「赤」には魔除けの意味があり、還暦には干支が一巡し、生まれた年の干支に戻る。つまり赤ちゃんに戻るという意味から、子供が着るちゃんちゃんこ(袖なし羽織)とかけて「赤いちゃんちゃんこ」を贈るという習慣が生まれたようである。
しかし、それは、今の時代に、特に私たちマチュア世代にマッチしているのか、私たちらしい新しい還暦のイメージがあるのではないか、という疑問から、今回、マチュアの会で「私たちの還暦」というテーマでアンケートを実施した。結果は下記の通りである。
<調査概要>
・マチュア世代:40代~60代の女性
・集計数:45名(60歳未満32名/60歳以上13名)
・全員が働く女性(マチュアの会会員)
・調査期間(2023/7/20~2023/7/30)インターネット調査
※マチュアの会とは
「マチュアの会」は、それぞれの場所で様々なキャリアを積んできたマチュア世代の女性たちのオンライン・オフラインでのコミュニティです。次のステージでも自分らしく輝くために、本気で人生のセカンドキャリアについて考える講座「Next Story」の修了生を対象としています。
還暦の色のイメージ
従来の「赤」だけでなく、様々な色をイメージする中、再出発を意味する「白」という声も
- 還暦のイメージカラーは、やはり「赤」「朱色」「コーラル」等、赤系が断トツであるが、「厄除け」「昔からの伝統」といった慣例のイメージも強いようである。
- 二番目に続くのは「青」「紫」といった「高貴なイメージ」「しなやかな考えができる年齢で清流・せせらぎのイメージ」と共に「処遇等モチベーションが下がる感じ」から青を選んだケースもある。
- 「オレンジ」「緑」「ピンク」と言った元気で若々しい色を選んだ人も多く、「ワクワク感」「エネルギーを感じる」「明るさと熟成感」「実りの季節」等、前向きなイメージを持っているようである。
- 意外と多かったのは「白」「透明」「虹色」。「リスタート」や、「これからどんな色にもなれる」「色々な色が折り合いをつけながら共存できるというイメージ」で、白無垢に通じる部分もあるのだろうか。
- 「決められない」というのも「その人らしい色がある」という意味で「白」「透明」と同様なのかもしれない。
- 「黒」:これからは色に染まらず自分のやりたい事を貫きたい。
- 「ラベンダー」:リラックスしながら楽しく暮らす決意。
「還暦」と聞いて何を思い浮かべるか
昔から言われているイメージだけでなく、色々な言葉が集まった。その理由も様々
- まず最初に思い浮かぶワードは、やはり「赤いちゃんちゃんこ」のようであるが、そのイメージはポジティブ、ネガティブ両方とも同程度の感情がある。
- 「還暦」、「60歳」に対してのイメージは「若い」「元気」というワードと同時に「人生の節目」「第二の人生のスタート」といったポジティブな言葉が並ぶ。一方で、「再雇用」「定年」等、社会の体制、会社の制度などから見ると、第一線から退いた者と見なされるイメージがあり、実際の活躍には結びついていないとネガティブに捉えている意見も同じぐらい存在している。
- 昔よりもマイナス10才は若いという感覚は、全体を通して同じイメージを持っているようである。
- 「60歳還暦」のネガティブな感情は、還暦が嫌なのではなく、世間一般の還暦のイメージと実際の自分達の還暦のイメージに差がある部分に対しての感情と推測される。
「還暦前」の心境・「還暦後」の心境
還暦を迎える前に持っている【還暦】のイメージと、実際に還暦を迎えた時の心境にマチュア世代らしい前向きさが伺える
「還暦前」の心境は、ワクワクや期待感、新しいスタートなど、ポジティブコメントが多かった。セカンドキャリアを充実させたいと集まった当マチュアの会の特徴的な結果かもしれないが、「次何をしよう」「自分の好きなことができる」と言ったコメントと同時に、「ただの通過点」という冷静なワードも一定数あり、「落ち込む」「不安」のコメントは少数であった。
「還暦後」の心境は、偶然にも「10年」を節目に将来を考えている意見が多く、「身軽」「開放感」「達観」と言ったワードに心境が垣間見えた。
「還暦前」の人達が、「誕生日は、『誕生日』としては、普通に祝ってもらいたいが、『還暦』としてお祝いされるぐらいなら、むしろしないでほしい」という大人女子として複雑な心境を覚えつつも、実際に還暦を迎えた経験者からは、「還暦なのに特に何もなくて寂しかった」という少々天邪鬼な感情も存在しているようである。
「還暦」のプレゼント・ご褒美
プレゼントを贈る際は、「お祝い」「ねぎらい」「感謝」「健康祈願」という気持ちの他に、「形式」「節目」という理由も挙げられた。
還暦のプレゼントはどのようなものをイメージしているのだろうか。
還暦前は、食事会や旅行など、「物より想い出」が断トツに多かったが、実際に還暦のお祝いとしてもらったプレゼントは、「花束」「ワイン」「食事会」など、手元に残らない『消えもの』が上位にあがった。ただし、この結果は、ちょうどコロナ禍に還暦を迎えた人を多く含む回答の為、少し偏りがあるかもしれない。いずれにしても、どんなプレゼントにせよ『ちょっと高級な』という形容詞は必須のようである。
また、特別な日という意味でアルコールは「シャンパン」というコメントが多かった。
では、自分へのご褒美としては、どうだろう。
還暦前の自分にあげたいご褒美としては「旅行」がTOPで、「エステ」「非日常体験」「リラックスグッズ」が続き、「ご褒美ジュエリー」と並んだ。単語の重要度を重視したスコア分析では以下(図3)の結果である。「短期留学」「自分を磨く」「副業」等のワードも多く、次のステージを視野に入れた自分へのご褒美が入っていたのは、マチュアの会メンバの特徴的な結果かもしれない。
※図3、図4 ともにUserLocalテキストマイニングで分析(ワードクラウドスコア)
スコアはその単語の重要度を表す値で、調査対象の文章の中で特徴的な言葉を抽出するための統計処理をしたもの
まとめ
還暦は新たな出発点としての認識で、通過点、再出発、区切り、生まれ変われるなど、60歳の還暦を節目として捉え、還暦を迎えること自体、あるいはその後の人生に対してポジティブに捉えている。「還暦」という言葉そのものは、「人生が一回りし、また新しい道が 始まるという感じ、生まれ変われそうなイメージもある」という声もある一方で、多くが、「年寄くさい」とネガティブなイメージを持っている。令和の時代の60歳は、祖父母の世代と比べて肉体的にも元気であり、「還暦」に代わる、新たなイメージ像としての言葉が望まれるようだ。
そういう意味でも、私達マチュア世代の還暦の色も赤一辺倒ではなく、これからどんな色にでも変幻自在にチェンジできる「白」「透明」「虹色」が、新しい「還暦カラー」になっていくのかもしれない。
(マチュアの会 ハピ・還プロジェクトメンバ:有馬・永合・畠・西村)
ハピ・還プロジェクトとは、従来の還暦のイメージではなく、セカンドキャリアをキラキラと明るく美しく生きるアラ還(Around 還暦)女子にふさわしく、現代に合う前向きで私達らしい還暦を目指すプロジェクトです。ワクワクハッピーな還暦を!から【ハピ・還】プロジェクトは発足しました。今後は、マチュア世代に求められる【ハピ・還】らしい商品開発やインサイト発信等を目標に活動していきます。
セカンドキャリアについて考える講座「Next Story」
https://next-st.com/post/event-category/course/