美肌に導くスキンケア 第1回
歳を重ねていくと残念ながらお肌も若い頃と同じというわけにはいきません。それでも、女性なら、だれしも美しく歳を重ねていきたいと願うのではないでしょうか? 濃いお化粧でごまかすのではなく、自然な素肌の美しさを少しの知識と努力で手に入れるために、マチュア世代のスキンケアについてシリーズでお伝えしていきます。
シミ対策3つの方法
日差しが強い季節の肌のお手入れ方法としてまず一つ目に大切なことは、紫外線からお肌を守ることです。
「肌は季節を後追いする」と言われています。夏に強い紫外線を浴びたお肌は9月~10月頃、シミ・くすみが生じ、肌の暗さを感じてしまいます。皆さんご存じのメラニンは、本来、肌や体を守るために大事な色素です。紫外線などの刺激を受けると表皮の基底層にあるメラノサイトにより作り出され、メラニン色素を含む表皮細胞が肌内部を守り、肌細胞が紫外線によるDNAの破壊や皮膚がんの発生を、未然に防いでくれます。
このように、メラニン色素は肌トラブルや病気を防ぐために存在しますが、「美肌」の為には増やさないようなケアが必要となります。
■ シミの種類
歳と共に悩みとなるのが、いつの間にかお顔に現れてくるシミ。シミにもいろいろ種類があります。
<老人性色素斑>
シミの中でもっとも多いのが、紫外線が原因のシミ。ほお骨の高いところやこめかみにできやすく、数㎜~1cmほどの大きさの平坦で丸い色素斑であることが多いです。老人性色素斑は、これまでに浴び続けてきた紫外線が原因で現れてくるシミのことをいいます。日本人では通常40歳前後に発症しやすくなります。また、肌色が白い方や学生時代に部活動などをしていて日差しに長く当たっていた方は20歳前半でも表れてくる場合があります。
老人性色素斑は、紫外線を浴び過ぎたからといってすぐに発症するものではありません。発症する年齢、大きさや数は人それぞれで、過去のダメージの蓄積が関わります。老人性色素斑は、顔・腕・手の甲にできやすいシミです。
通常は皮膚のターンオーバーによってメラニン色素が排出されもとの肌色に戻りますが、紫外線対策を怠り慢性的に浴びつづけた場合や、ターンオーバーが部分的に滞ったりすることでメラニンが過剰につくられて沈着してしまい、これが老人性色素斑となります。
<肝斑>
頬骨や鼻の下、額に左右対称にできます。30~40代の女性によく見られ、閉経とともに消えるため、女性ホルモンが関係していると言われています。また、妊娠中やピルの服用中にも出現しやすくなります。
その他のシミの種類には、雀卵斑(そばかす)、炎症性色素沈着、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)などがあります。
■ 紫外線(炎症)によるシミのメカニズム
①紫外線や外部刺激によりメラノサイトに「メラニンを作れ」という指令を出します。
②情報を受け取ったメラノサイト(メラニン生成細胞)が酵素チロシナーゼ(酸化酵素)を活性化させ、アミノ酸の一種であるチロシンに作用します。
③チロシンが化学反応により、黒色メラニンへ変化します。
④メラニンがケラチノサイトに蓄積し、色素が沈着しシミとなります。
紫外線に当たっていなくても、シミが消えない・・・ということはありませんか?
シミ部分は弱い炎症が続いておりメラニンが増加し続けています。メガネをかけられている方で、外すと鼻に跡が残っている場合がありますが、鼻の上にのせているだけで肌は刺激を受け続けている状態となり、メラニン色素が発生し、色素沈着します。
現在シミやくすみが気になる方も、シミやくすみを生じさせないように予防したい方も、対策方法を知ることで改善が可能です。
■ シミ対策3つの方法
①メラニンの生成を抑える
②黒くなったメラニンを薄くする
③炎症を抑える
<メラニンの生成を抑える>
メラニンの生成を抑えるには、日焼け止めを使用したり、日差しの強い時期は日傘をさすなど季節を問わず紫外線から肌を守ることが大切です。また、在宅ワークや休日など自宅にいるときも日焼け止めは必要です。
紫外線は、曇りの日の雲も窓ガラスもカーテンも通り抜けます。日中は電気を消していても窓があれば部屋の中は明るいため、普通に物が見えていますよね。夜は真っ暗で何も見えないということはそこに紫外線はありません。日中に電気を消していても部屋の中が見えているという事は、部屋の中にも紫外線が降り注いでいるという事です。1日家から出なくても紫外線の影響は受けますので、365日、家にいるときも日焼け止めをつけましょう。カーテンや窓ガラスにUVカット機能があるものを選ぶことも紫外線対策として有効です。
一瞬だからと洗濯物を干すときや、近所だからとスーパーやコンビニに行くときに紫外線対策を怠ると、知らないうちに「うっかり日焼け」による紫外線ダメージが蓄積し、ふと気づいたときに、顔や手元などにシミが現れる場合があります。日々の積み重ねによりシミ予防が可能です。
日焼け止めには「SPF」と「PA」の表示が記載されています。紫外線A波、B波の防御効果を示すもので、SPF数値が高いもの、PA+の数が多いものは紫外線カット力が高いです。
日焼け止めは肌に良くないと耳にされたことがある方もおられると思います。製品にもよりますが、紫外線カット力の強い日焼け止めが、肌の負担になる場合があります。目安としては、外で過ごす時間が多い方、海やレジャーなど一日中外出する場合は「SPF50+、PA++++」と表記されたい日焼け止めを選んでください。手を洗ったり、汗をかいた場合は、化粧直しをこまめにしたり、日焼け止めの塗り直しが必要です。通勤時や自宅で過ごすなど、紫外線に当たる時間が一日2~3時間以内、または直射日光に当たらない場合、その他敏感肌の方は目安として「SPF20~30、PA++~+++」の日焼け止めを選んでください。
日焼け止めの選び方
顔用、ボディ用の日焼け止めは分けて使用することをおすすめします。顔用は、「乳液、美容液、日焼け止め、化粧下地効果」など1本で多機能をもつ朝専用乳液がありますので、毎日のスキンケアとしてUVケアを簡単に行うことが出来ます。ボディ用にはミルク、ジェル、スプレータイプなど使い心地の良いものを選んでください。
<黒くなったメラニンを薄くする>
美白スキンケアシリーズや美白美容液を一年中使用することで気になるシミやくすみをケアすることが可能です。また、化粧品と併せて、ビタミンやシミ・そばかすに効果のあるアミノ酸などを服用し、内外美容を一緒に行うことも効果的です。
シミ、くすみ肌におすすめの成分(化粧品・健康食品共通)
ビタミンC、ビタミンE、プラセンタ、トラネキサム酸、システインなど。
<炎症を抑える>
肌への摩擦を抑えることはもちろんですが、紫外線を強く浴びてしまった時は、すぐにシートマスクなどでクールダウン&保湿を行ってください(患部がただれていたり、重度の日焼けの場合はお医者様にご相談ください)。微弱炎症がシミを作り続ける原因になっている場合もありますので、抗炎症作用のあるスキンケア化粧品を使用することもおすすめです。メガネ跡が気になる方は、メガネ自体を軽いものに変えたり、鼻パッドのないものを選ぶのも有効です。
炎症性色素沈着には大きく二つ原因があります。一つ目は日焼けやニキビ、虫刺され、アレルギーなどで患部を長期間搔いてしまう、強いマッサージを頻繁に行うなどの刺激や炎症で色素沈着を起こす場合。ニつ目は、ナイロンタオル、フェイスブラシ、衣類による摩擦などで肌が黒ずむことがあります。そのため、日ごろからお肌には優しく触れるようにしてください。
透明感のある明るい肌作りのためには、毎日のスキンケアが大切です。今日から少し意識をするだけで、お肌の調子が良くなり、鏡を見るのが楽しくなってまいります。
次回はしわ・たるみのケア方法についてお伝え致します。
※関連記事
美肌に導くスキンケア 第2回(しわ、たるみ対策6つの方法)
美肌に導くスキンケア 第3回(エイジングケア3つのポイント)
筆者紹介:
エクラブランシュ株式会社 代表 後藤美由紀
専門学校を卒業後ドラッグストアに就職し、一般医薬品・化粧品販売員に。その後化粧品メーカーの美容部員を経て、大手ドラッグストアのプライベートブランド化粧品企画開発や社内教育、営業などに携わる。「誰もがもっと美しく健康になれる」と平成28年、エクラブランシュ株式会社を設立。美容と健康の根本は「食事と栄養」。分子栄養学の観点から美容、健康、精神への密接な関わりを伝える。
エクラブランシュHPはこちら
https://eclat-blanche.com/