全仏オープン2019

 テニスの全仏オープン2019、錦織圭の試合を毎晩はらはらしながら見ていました。パリ郊外のローランギャロスは一度訪問したことがあり(試合はやってなかったけど・・) なんとなく思い入れがある会場です。途中で翌日に持ち越された錦織の四回戦は、観ているこちらが疲れてしまいました。

 翌日に持ち越されたせいで3日連続の出場、しかも今度はナダルが相手で、残念ながら準々決勝は圧勝されたという感がありました。

 ところで、今回の大会優勝賞金はシングルスで230万ユーロ(約2億9000万円)、4回戦でも243,000ユーロ(約2,980万円)が出るそうです。錦織はとりあえず約3千万はGetしたことになるわけで、やはり一流のスポーツ選手は サラリーマンとは一回の仕事で得る報酬額が違います。

 でもテニス選手の場合は、遠征費用やコーチ・トレーナー等サポートチームの費用も そこから出すわけで、選手寿命を考えると以外に厳しいかもしれません。 (その分、CM出演などで稼いでいるのでしょうが・・・)

「セカンドキャリア」という単語は、かつてはスポーツ選手の引退後のキャリアについて使われることが多いようでした。60歳前後まで同じ職場で働くことができるサラリーマンと違い、多くは30代で引退していくスポーツ選手の「セカンドキャリア」は、彼らにとっては大きな問題で、高額な収入で引き上げてしまった生活レベルを一般人並みに落とすのはたいへんだろうと思います。

 松岡修造のような個性的なキャラでTVで活躍できるスポーツ選手は極めてまれで、ストイックに練習に打ち込み、実力だけで勝負しているスポーツ選手の多くは競技の世界だけしか知らず、解説者やコーチとしてその業界に残れる人は幸せで、多くは別の道に進まざるを得ないことでしょう。

 若くして引退を決断しなければならないスポーツ選手に対して、サラリーマンや公務員など勤め人の定年退職後は「老後をのんびり」過ごして人生を締めくくっていくのが以前は普通のことでした。

 そのうち、出産・育児のために仕事を辞めた女性たちが、子育てに手がかからなくなり仕事に復帰する際に「セカンドキャリア」という単語が使われるようになりました。スポーツ選手という一部の特殊な職業の人だけでなく、一般の人に使われる「セカンドキャリア」と言えば、少し前まではこちらが主流でした。

 そして今は「セカンドキャリア」と聞いて「子育て後の職場復帰」をイメージする人と、「定年後の次の仕事」を思う浮かべる人と、年齢によって異なるようになってきました。それだけ「定年後の次の仕事」としてセカンドキャリアを考える人が増えてきたのだと思います。しかもそれは「定年後」だけではありません。定年前の50代ぐらいから「次に挑戦する仕事」ということを意識する人が増えてきているように感じます。

 単に「定年後に年金が出るまでのつなぎの仕事」というよりも、「一度きりの人生、やりたいことに挑戦したい」、「しがらみのない仕事でもう一度頑張りたい」という人が、人生100年時代の掛け声とともに増えてきたのだと思います。

「セカンドキャリアで新しいことに挑戦する」そういう意味では、スポーツ選手もサラリーマンも同じです。

 雇用延長の動きの中、定年年齢も伸び、そのうち70歳まで同じ職場で働くことが普通になる時代もやって来るかもしれませんが、果たしてそれが幸せなのか・・・

 以前のように、「定年後」=「老後」ではなくなってきた今の時代、退職金でローンを完済し、ある程度の貯蓄もできて、子供の学費もローンのことも気にせずに「新しいことに挑戦できる」ということが、セカンドキャリアの良いところだと思います。

 テニスの世界では20歳そこそこの若手の台頭に29歳の錦織もそのうちベテランと呼ばれるようになるでしょう。引退はまだ先でしょうが、10年後、40歳を前に彼もまた新しいことに挑戦しているかもしれません。